ボバル
ボバル（黒ブドウ）はスペインではアイレン（白ブドウ）、テンプラニーリョ（黒ブドウ）、ガルナッチャ（黒ブドウ）に次いで4番目の栽培面積を誇る。原産地はバレンシア州のウティエル･レケーナ周辺と考えられている。D.O. ウティエル･レケーナ ではもちろんのこと、周辺のD.O.バレンシアやD.O.マンチュエラでも多く栽培されている。
これらの地域は地中海性気候の影響を受けつつも、内陸部にあることから大陸性気候の特徴も併せ持つ。ボバルは旱魃に強く、また成熟の遅いブドウなので、これらの南の乾燥した地域での栽培に適している。天候の変化や病気に強く、多くの果実を実らせる品種なので、適切な間引きによって収量を抑えることが、凝縮した果実を作る秘訣であるが、 D.O. ウティエル･レケーナに多くある古木はそもそも収量が低いので、そのような間引きは必要とされない。
かつては、色素が濃く、酸化に強いことから、その多くがバルクワインの生産用に使われていたが、近年はブドウの収量を抑えることにより良質なワインも造られるようになった。
また、ボバルの濃い色と赤系果実の香りは、ロゼワインの生産にも適している。
熟成してない早飲みタイプのワインは、ラズベリーやレッドチェリーなどの赤系果実、すみれ、甘草やラベンダーの香りを感じ、熟成するにつれブルーベリーやカシスなどの黒系果実、チョコレートなどの香りが生まれる。ボディーはミディアムからフル、酸度は高く、アルコール度数は中程度から高め、タンニンはしっかりしている。
合わせる料理であるが、ボバルのしっかりとした骨格および豊かな香は、バレンシア地方の郷土料理であるパエリアとの相性が非常に良い。早飲みタイプのワインはロースト野菜の前菜などとの相性が良く、一方で熟成したタイプのワインは、熟成したチーズとの相性が抜群。
ボバルのワインはこちらを参照。
