アイレン
アイレンはスペインはカスティーリャ・ラ・マンチャ州のクエンカが原産地と言われている白ブドウ品種。その栽培地域は スペイン国内でもカスティーリャ・ラ・マンチャ州 にほぼ集中しているものの、その栽培面積は広大で、スペイン国内では(白ブドウ、黒ブドウ全ての品種の中で)最大の栽培面積を誇る品種(但し、近い将来テンプラニーリョに追い抜かれると見られている)。アイレンはスペイン内陸部に広がるメセタと呼ばれる台地の厳しい気候(非常に少ない降雨量(年間約300mm)、夏季の昼間の強烈な直射日光、など)にも耐えることができ、また発芽および成熟が他品種よりも遅いことから遅霜の被害を受けにくく、スペイン内陸部での栽培に適した品種と言われている。
スペイン内陸部の乾燥した大地では、ブドウがカビや病害虫による被害を受けるリスクが低く、また成熟が遅いアイレンは暑い気候の下でも糖度の上昇が緩やかで収穫時期を見極めやすいため、毎年安定的に品質の高いブドウを生産することができる。
この品種から生み出されるワインの典型的なスタイルは、ドライで、比較的軽やか。香りは控えめで、酸味もアルコール度数も比較的穏やかなものが多い。然しながら、古木から採れるブドウで造られるワインからは蜂蜜、リンゴ、レモン、などの複雑な香りを感じることができる。
この品種は、従来は地元で消費される安価な白ワインの原材料となったり、他の高級白ブドウ品種(マカベオやベルデホ)とブレンドされたりすることが多かった。また、スペイン国内はもとより、欧州各国で作られるブランデーなどの蒸留酒のベースとしても重宝されてきた。
但し、近年はステンレススチールのタンクで低温発酵する技術が普及し、ブドウ由来のデリケートなアロマをしっかりと引き出した上質なワインが作られるようになった。また、この品種は樽熟成には適していない(樽の香りがブドウのデリケートなアロマを台無しにしてしまうため)が、シュールリーによって独特のうまみを持たせたワインも多く作られるようになった。
スペインでは、アイレンで作られたワインは、バーやレストランなどで食前酒としてグラスで提供されることが多い。その軽やかでフレッシュな味わいは、フレッシュチーズ、オリーブ、魚介類のタパスなどと相性が良く、また鮨などの日本食との相性も非常に良い。
アイレンのワインはこちらを参照。